カレーの発祥地であるインドの影響をうけつつも、独自のハーブをつかい発展させた「タイカレー」。
とくにグリーンカレーは世界的に有名ですが、じつはタイカレーには多彩なバリエーションがあり、外国人にはあまり知られていないカレーもたくさんあります。
そこで、本記事ではタイ在住10年の筆者がさまざまな種類のタイカレーを写真をまじえて紹介します。
タイ旅行では本記事を参考にいろいろなタイカレーを食べてみてください。
グリーンカレー
タイハーブの清涼感と刺激的な辛さ
日本をふくめ世界的に有名な「グリーンカレー」。
タイでは「ゲーンキイアオワーン」とよばれます。
「ゲーン」はタイ語でカレー、「キイアオ」は緑、「ワーン」は淡いという意味で、見た目とおり「淡い緑色のカレー」です。
レモングラスやコブミカンの葉など、フレッシュなハーブをつかった清涼感のある香りと、青トウガランの刺激的な辛さがいかにもタイらしい味です。
また、グリーンカレーには欠かせない、小さくて丸い「スズメナスビ」の独特な食感と苦味もグリーンカレーの味わいをより一層深めています。
鶏肉をつかうお店が多いですが、牛肉や豚肉、つみれなどのグリーンカレーもあります。
レッドカレー
ハーブの爽やかな香りと燃えるような辛さ
「レッドカレー」はタイ人にとって最も一般的なカレーで、カレー以外にも炒めものなどで親しまれています。
タイ語で「ゲーン・ペット」とよばれ、「ゲーン」はカレー、「ペット」は辛い、という意味で、その名の通り「辛いカレー」です。
乾燥した赤い唐辛子をつかうため、炎のような赤い色をしています。
新鮮なタイハーブに、にんにくや唐辛子、カピやココナッツミルクなどがくわわり、爽やかで奥深い辛さが特徴です。
具材がおおく、お肉のほかにタケノコや冬瓜なども入っており、食べごたえがあります。
イエローカレー
タイではマイナーな料理
カレー粉にジャガイモという日本人の口に一番あうカレーですが、タイ人が食べている姿をあまり見かけたことがありません。
イエローカレーはタイではマイナーな料理で、大衆食堂では提供されておらず、イスラム系のお店とレストランで提供されます。
箸休めの野菜の甘酢漬けが絶品です。
ゲーンマッサマン
タイカレーの新生
数年前、CNNが運営する観光情報サイト「CNNGO」で、世界一美味しいと料理と評価され、世界的に有名になった「ゲーンマッサマン」。
「グリーンカレー」「レッドカレー」「イエローカレー」が定番だったタイカレー界に彗星のごとく現れた新生です。
ほどよい辛さと奥深く上品な甘さ、ココナッツミルクやパームシュガーの濃厚なコクが味わえます。
タイハーブをベーツに作られるタイカレーと違い、カルダモンやグローブなどの乾燥スパイスをベースに作られるので、日本のカレーに近いです。
タイの大衆食堂なら200円、レスランでも500円ほどで食べることができます。
ゲーンマサラ
タイには少数のムスリムも暮らしており、ハラール料理を提供するレストランも点在しています。*バンコクではアラブ街、チェンマイではハラル通り。
不気味な雰囲気がただっよているため、入店にはかなりの勇気が必要ですが、味は本格的で値段が安く、コスパ的には最高です。
そんなハラルレストランで個人的に一番のおすすめはゲーンマサラ(マサラカレー)です。
一口食べると、肉汁とスパイスの香りが口いっぱいに広がり、絶品の味わいに感動します。
カレールーの容器から飛びてているお肉は「はじめ人間ギャートルズ」のマンモのお肉のように馬鹿でかいです。
このクオリティーで日本円で300円(70バーツ)は、ちょっと日本では味わえないですよね。
入店からオーダーまでのハードルはかなり高いですが、料理は本物なので機会があれば食べてみてください。
ゲーンハンレー
豚肉ゴロゴロの濃厚生姜煮込み
タイ北部チェンマイの名物「ゲーンハンレー」。
ゴロゴロの豚バラ肉をカレーペーストで炒めてから煮込むタイ版の豚角煮です。
とろりと煮込まれた豚肉の甘さに、ショウガの刺激とタマリンドの酸味がくわわり、おもしろいようにごはんがすすみます。
スープ仕立てのタイカレーとちがい汁気がなく濃厚なのは、16世紀〜18世紀にかけてタイ北部を統治していたミャンマーの影響だといわれています。
ココナッツミルクを使っていないのでタイカレーが苦手な方でも美味しくいただけます。
ゲーン・ホ
春雨のカレー炒め
チェンマイのお惣菜屋にかならずある、タイ北部で人気のおかず「ゲーン・ホ」。
タイ北部ではランナーカレーともよばれています。
お寺に寄進された食材の余りものを日持ちさせるために、カレー粉で炒めてアレンジしたのがはじまりとされています。
ごはんのおかずにもビールのつまみにもぴったりで、日本に存在しないのが不思議なほど、日本人が好きな味です。
チェンマイを旅行するさいはぜひ食べてみてください。
カオソーイ
クリーミーなカレー味のスープに平麺をあわせたタイ北部チェンマイの名物麺料理「カオソーイ」。
チェンマイはカオソーイ発祥の地だけにおいしい店がたくさんあります。
こちらの記事を参考に食べ歩きを楽しんでください。
はじめてチェンマイを訪れる方でも安心して入れるミシュラン審査員お墨つきのお店からグルメ雑誌には載っていないイスラム系のお店までチェンマイでおすすめのカオソーイ店を幅広く紹介しています。
プーパッポンカリー
タイの海鮮レストランの定番メニュー「プーパッポンカリー」。
1969年創業の中華系タイ料理レストラン「ソンブーン」が考案したといわれています。
タイ語で「プー」はカニ、「パット」は炒める、「ポンカリー」はカレー粉、その名の通り、カニのカレー炒めです。
ちなみに、筆者はカニの代わりに豚肉を使った「豚肉と卵のカレー炒め」をよく屋台で食べます。
ふわとろのとき卵、豚肉、カレー粉の三重奏は間違いなく優勝です。
チェンマイのローカル屋台では、30バーツ〜40バーツで食べられます。
カオモックガイ
イスラム系屋台めしの定番
カレー粉をつかったムスリムの炊き込みごはん「カオモックガイ」。
スパイスの香りゆたかな黄色いご飯のうえに、骨付き鶏もも肉がのっています。
辛さはひかえめなので、辛いのが苦手な方でもおいしくいただけます。
ごはんと鶏肉の組みあわせといえば、日本では「カオマンガイ」が有名ですが、タイではムスリムの炊き込みごはん「カオ・モックガイ」も負けず劣らず人気です。
パットプリックゲーントア
豚肉とインゲン(ササゲ)をレッドカレーペーストで炒めたタイのローカル飯の定番です。
肉体労働者好みの濃いめの味付けで、ごはんがとまらなくなります。
豚肉とインゲンをレッドカレーペーストで炒めるだけの料理なので、どのお店で食べてもハズレはありません。
ただし、辛さが調節できないため、辛いのが苦手な方は食べない方が無難です。
ご自宅でも簡単に作れます。
タイの炒めものでつかわれるインゲンはササゲの一種で、さやの中に16個の豆が入っていることから日本では「十六ささげ」ともよばれています。
ほかにもソムタムやラープなどの付け合わせの野菜としてつかわれます。
パネーン
通好みのタイカレー
濃厚さの中にさわやかな柑橘の香りがする通好みの「パネーン」。
スパイシーなカレーにココナッツミルクのまろやかさと爽やかなコブミカンの香りがくわわり、食欲をそそる美味しさに。
汁気が少なくこってり味で、ごはんがおもしろいようにすすみます。
「パネーン」は惣菜屋の定番メニューなので、どのローカル市場でも売っています。
ゲーンソム
南タイ名物!酸味の効いた個性的なカレー
ターメリックを多く使った南タイ名物のカレー「ゲーン・ルアンプラー」。
バンコクでは「ゲーンソム」ともよばれています。
タマリンドのフルーティーな酸味と香辛料の辛みが強いため、好き嫌いがわかれる味です。
南タイのカレーは、タイ料理とは質の違う辛さで、徐々にからだの内側からあたたまり、食事が終わってもずっと汗がとまらない感じです。
具材の魚はバラマンディがつかわれることがおおいです。
バラマンディは日本でいうスズキの仲間で、タイでは大型魚専用の釣り堀によくいます。
タイ北部のゲーン
日本人が便宜的にネーミングしたタイのカレー「ゲーン」。
タイ北部を旅行する方は実物をみて、「どこがカレーなの?」と戸惑うかもしれません。
タイ北部のゲーンは、100種類から200種類もあるとされています。*タイのクックパッドでも184種類が紹介されています。
すべてのゲーンを紹介することはできませんが、代表的なタイ北部のゲーンをいくつか紹介します。
ジャックフルーツのゲーン
「ゲーンカヌン」はジャックフルーツを使ったスープ仕立ての料理です。
ジャックフルーツの独特な食感である弾力性や粘りを楽しめます。
ガランガル、レモングラスなどのタイハーブもたっぷり入っているのでタイ料理が好きな方におすすめです。
牛もつのゲーン
「ゲーンオーンヌア」は牛もつたっぷりで、内臓好きにはたまらない一品です。
チェンマイの北タイ料理店ではどのお店でもメニューにあります。
タケノコのゲーン
「ゲーンノーマイ」たけのこたっぷり、具たくさんのスープです。
魚を塩漬けして醗酵させた調味料「プラーラー」が入っているため、独特の風味に仕上がっています。
ゲーンサレー
「ゲーンサレー」は、サレーと呼ばれるタイ北部で採れる葉菜類のゲーンです。
きのこのゲーン
「ゲーンノヘッド」は、たけのこたっぷりの具たくさんのスープです。
タイラーメンのゲーン(クイッティアオゲーン)
「クイッティアオゲーン」はタイラーメンのゲーンです。
タイハーブとスパイスの香りがクセになるおいしさです。
カオソーイは日本でも食べれますが、ゲーンラーメンが食べれるのは、タイの北部と南部だけですので、チェンマイに来たらぜひ食べてみてください。
タイラーメンの注文方法はこちら「タイラーメンの注文方法とクイッティアオの種類を写真で紹介」で確認ください。
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チェンマイグルメの決定版!