ワット・チェンマン完全ガイド|チェンマイ最古の寺院【歴史・見どころ・アクセス】

チェンマイ旧市街で最古の寺院、ワット・チェンマン。

1296年、ランナー王朝を築いたマンラーイ王が王宮跡を寄進し、建都と同時に創建したと伝わります。

象の仏塔(チェディ・チャン・ロム)や、チェンマイで最も重要な仏像プラ・セータンカマニ(クリスタル仏)など、歴史と芸術が息づく見どころが満載。

本記事では、ワット・チェンマンの見どころや歴史、アクセス情報を現地目線でわかりやすく解説します。

更新情報:この記事は2025年9月に現地取材し、内容を最新情報にアップデートしました。

ワットチェンマンの歴史

チェンマイ最古の寺院とされるワットチェンマンは、1296年、ランナー王朝を築いたマンラーイ王の手によって誕生しました。

当時、王はチェンマイの都市建設を監督するため、この地に宮殿を建てて一時的に居住。

その後、街が完成すると、自らの宮殿を寺院として寄進し、チェンマイで最初の王室寺院として「ワット・チェンマン」と名付けたのです。

その後、歴史のなかで寺院は栄枯盛衰を経験します。

1551年にチェンマイがビルマの支配下に置かれると、ワット・チェンマンも一時は荒廃。しかし1558年、ビルマのマントラ王子(後のタムニカラチャーティラート王)が寺院の大改修を命じ、再び息を吹き返しました。

こうしてワット・チェンマンは、都市創建の象徴でありながら、異国支配の時代をも耐え抜いた歴史的寺院として今日に至っています。

現在では「象が支える仏塔」や「クリスタル仏」といった、チェンマイの歴史を物語る建築や仏像が残されており、訪れる人々を魅了。

これらの見どころについては、次の境内の見どころで詳しくご紹介します。

境内の見どころ

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ワットチェンマイのガイドパネル

正面入り口の脇にワット・チェンマンのガイドパネルがあります。

順番に以下の通りです。

  1. 象の仏塔(チェディ・チャン・ロム)
  2. 本堂(壁画)
  3. 旧本堂(仏像が安置)
  4. 経堂(ホートライ)
  5. 布薩堂(ウボーソット)
  6. マライーイ王像
  7. 高僧クルーバーシーウィチャイの像
  8. トイレ
  9. 入り口
  10. 入り口

象の仏塔(チェディ・チャン・ロム)

ワットチェンマンの境内でひときわ目を引く象の仏塔チェディ・チャン・ロム)
ワットチェンマンの境内でひときわ目を引く象の仏塔(チェディ・チャン・ロム)
ワット・チェンマンの象の仏塔(チェディ・チャン・ロム)。基壇を支える15頭の象が特徴
象の仏塔の基壇部分をぐるりと囲む15頭の象

ワット・チェンマンのシンボルともいえるのが「チェディ・チャン・ロム(象の仏塔)」。1297年に建立されたランナー様式の仏塔で、基壇部分をぐるりと囲む15頭の象が、まるで仏塔を力強く支えているように見えます。

このデザインは、スコータイ県のワット・チャンロムにある仏塔をモデルにしており、当時の建築交流を物語っています。正方形の台座は二段に重なり、東側にはナーガの階段が伸びています。上部には金色の鐘形の仏塔が立ち、青空に映える姿は荘厳そのもの。

1935年までチェンマイ知事によって改修が続けられ、その後チェンマイ美術局によって古代遺跡として登録されました。内部には仏舎利が安置されているともいわれ、信仰の対象としても重要な存在です。

ワットチェンマンの象仏塔の前に立つマンラーイ王の像。チェンマイ建都の祖として敬われています。
象仏塔の前に立つマンラーイ王の像。チェンマイ建都の祖として敬われています。

この仏塔の前には、チェンマイ建都の祖でありワット・チェンマンを創建したマンラーイ王の銅像が佇んでいます。建都の象徴である仏塔と王の姿が並ぶ光景は、この寺院の歴史的な意味を端的に物語っています。

新しい大本堂(ウィハーン・ヤイ)

ワッ・トチェンマンの入り口正面の新しい大本堂(ウィハーン・ヤイ)
ワッ・トチェンマンの入り口正面の新しい大本堂(ウィハーン・ヤイ)

ワッ・トチェンマンには新・旧2つの本堂があり、入り口正面に見える大きな建物が新本堂です。(奥の建物が旧本堂)

ワット・チェンマンの本堂の優雅にそりあがった屋根
優雅に反り返った曲線屋根が特徴的なランナー様式の新本堂

新しい大本堂(ウィハーン・ヤイ)は優雅に反り返った曲線屋根が特徴的なランナー様式の建物で、堂内に一歩入ると、赤い壁に金箔で描かれた鮮やかな壁画が広がります。

チェンマイ創建の様子が描かれたワット・チェンマンの本堂の壁画
チェンマイ創建の様子が描かれたワット・チェンマンの本堂の壁画

この壁画には、マンラーイ王がウィアン・クム・カームやチェンマイを創建していく歴史が物語のように描かれており、チェンマイの成り立ちを知る手がかりとなっています。

ワットチェンマン新本堂の「コーン・プラチャオ」と呼ばれる須弥壇
ワットチェンマン新本堂の「コーン・プラチャオ」と呼ばれる須弥壇

中央の祭壇には、吉祥坐で穏やかな表情を見せる仏陀像が鎮座。その背後には「コーン・プラチャオ」と呼ばれる須弥壇があり、ご本尊が厳かに安置されています。落ち着いた堂内は、参拝者に静かな安心感を与えてくれる空間です。

旧本堂(チャトゥラムック・ウィハーン)

ワット・チェンマンの旧本堂(チャトゥラムック・ウィハーン)
ワット・チェンマンの旧本堂(チャトゥラムック・ウィハーン)

大本堂の右手に建つ「チャトゥラムック・ウィハーン」は、かつてワット・チェンマンの本堂として使われていた建物です。現在は規模こそ小さいものの、境内で最も神聖な場所のひとつとされています。

堂内には、霊験あらたかな2体の仏像が安置されています。どちらも檻がかかったガラスケースの中で厳重に守られ、チェンマイの守護仏として特別な役割を果たしてきました。

プラ・セータンカマニー(クリスタル仏)

ワットチェンマンのプラセータンカマニー災いから守り幸せを招くといわれる水晶の仏像
ワットチェンマンのプラセータンカマニー災いから守り幸せを招くといわれる水晶の仏像

プラ・セータンカマニー(クリスタル仏)は左側の坐像で、透明な水晶のように輝く姿から「プラ・ゲーオ・カーオ(白色透明石の仏像)」とも呼ばれます。災いを遠ざけ、幸せを招くと信じられてきました。

名称プラ・セータンカマニー(クリスタル仏)
一般名称プラゲーオカーオ(白色透明石の仏像)
英語Phra Sae Tang Khamani
タイ語พระเสตังคมณี
仏像の大きさ幅10.16cm 高さ15.24cm
仏像の体勢マラウィチャイ(吉祥坐・降魔印の坐像)

プラ・スィーラ仏(石仏)

ワット・チェンマン旧本堂に安置された石仏(プラ・スィーラ仏)。暴れ象ナラギリを諭す姿が刻まれており雨乞いの儀式でも祀られた
石仏(プラ・スィーラ仏)

プラ・スィーラ仏(石仏)は右側の立像で、暴れ象ナラギリをひざまずかせ諭す仏陀の姿を刻んだ石碑です。古来より「雨を呼ぶ仏」とされ、干ばつの時期には雨乞いの儀式でも祀られました。

名称プラ・スィーラ仏(石仏)
英語Phra Sila
タイ語พระศิลา
仏像の大きさ
仏像の体勢立像

この2体の仏像は今もチェンマイの人々の信仰の中心にあり、毎年ソンクラン(タイの旧正月)の時期には、大本堂前にレプリカが祀られ、多くの参拝者が祈りを捧げます。

布薩堂(ウボーソット)

ワットチェンマンの布薩堂(ウボーソット)
ワットチェンマンの布薩堂(ウボーソット)

境内の奥にひっそりと建つ布薩堂(ウボーソット)は、僧侶が戒律を唱えたり瞑想を行ったりするための礼拝堂で、寺院の中でもとても重要な建物です。

一般参拝者は基本的に入ることができず、扉が閉じられていることが多いのですが、その静けさ自体が神聖な雰囲気を漂わせています。

ワット・チェンマン布薩堂の前にある石碑
ワット・チェンマン布薩堂の前にある石碑

堂内には立ち入れませんが、前には寺院の歴史を物語る重要な石碑が安置されています。そこには、チェンマイを共同で建設した三人の王、マンラーイ王、カムムアン王、そしてラームカムヘン王の名が刻まれており、都市の創設とワット・チェンマン建立の物語を今に伝えています。

ワット・チェンマンの布薩堂周辺に置かれるの結界石
ワット・チェンマンの布薩堂周辺に置かれるの結界石

経堂(ホートライ)

ワットチェンマンの経堂(ホートライ)
ワットチェンマンの経堂(ホートライ)

境内の一角には、池に浮かぶように建てられた「ホートライ(経堂)」があります。

ここは仏教の経典を納めるための建物で、水や害虫から大切な経典を守る工夫として、高台や池の上に建てられることが多いです。

池に映る小さな堂宇の姿はどこか幻想的で、境内散策の合間に目を引くスポット。荘厳な仏塔や本堂とはまた違った趣があり、寺院に流れる静かな時間を感じさせてくれます。

境内の雰囲気

ワット・チェンマンは、チェンマイ旧市街の有名寺院の中でも比較的落ち着いた雰囲気に包まれています。

観光客の姿はあるものの混雑は少なく、ゆっくりと境内を歩けるのが魅力です。

地元の人々が静かにお参りする姿や、僧侶たちが戒律を唱える声が聞こえてくると、観光スポットというより「今も生きている信仰の場」であることを実感します。

午前中は仏塔や本堂に柔らかな光が差し込み、写真映えする瞬間。夕方には境内全体がオレンジ色に染まり、しっとりとした美しさに包まれます。

アクセス・周辺散策情報

アクセス

ワット・チェンマンはチェンマイ旧市街の北東にあり、ターペー門から徒歩約13分、チャーンプアック門からは徒歩約8分と、旅行者でも歩いて行ける距離にあります。

歩くのが面倒な場合は、ソンテウやウーバーを利用するのがおすすめ。旧市街内の移動なら 50〜80バーツほどで利用できます。帰りは境内に客待ちのトゥクトゥクが待機していることも多く、気軽に捕まえられます。

詳しくはこちらの記事も参考に

周辺散策

  • ジョークソムペット
     徒歩5分の場所にあるお粥の名店(ジョークソムペット)。朝ごはんや軽食に立ち寄る旅行者も多く、ワット・チェンマン観光とセットで楽しむのが定番コースです。
  • ザ・ハウス by Ginger
     おしゃれに食事を楽しみたい方には、旧市街の人気レストラン「ザ・ハウス by Ginger」がおすすめ。スタイリッシュな空間でタイ料理やフュージョン料理を堪能できます。
  • 寺院めぐり
     お寺巡りを続けたい方は、徒歩圏内にある寺院をまとめた「チェンマイ旧市街のお寺38寺全て紹介します(作成中)」もぜひ参考に。ワット・チェディルアンやワット・プラシンなど有名寺院も徒歩圏内です。
  • まち歩き
     歴史ある旧市街をじっくり歩きたいなら「チェンマイ旧市街の城壁とお堀 チェンマイまち歩き」の記事がおすすめ。寺院巡りと合わせて、チェンマイの街そのものを楽しむことができます。

まとめ

チェンマイ最古の寺院、ワット・チェンマンは、ランナー王朝の建都とともに歩んできた歴史そのものを感じられる場所です。

象の仏塔や、クリスタル仏・石仏といった貴重な仏像、赤い壁に金箔で描かれた壁画など、見どころが境内のいたるところに散りばめられています。

観光地でありながら、僧侶や地元の人々の信仰が今も息づく姿を間近で感じられるのも魅力。静けさに包まれた境内を歩いていると、単なる観光ではなく、700年以上続くチェンマイの歴史に触れていることを実感できます。

旧市街の散策と合わせて、ぜひ立ち寄ってほしい寺院です。きっと「チェンマイに来てよかった」と思えるひとときが待っています。

基本情報

名称ワット・チェンマン
タイ語名称วัดเชียงมั่น
英語名称wat chiang man
営業時間5時00分~21時00分(日曜日は22時まで)
連絡053-213170
場所Googleマップでひらく
見どころ壁画・象の仏塔・2体の貴重な仏像
アクセス徒歩・ソンテウ・グラブ

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更新情報:この記事は2025年9月に現地取材し、内容を最新情報にアップデートしました。

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