ワット・チェディ・ルアン参拝ルート完全ガイド|チェンマイ旧市街の巨大仏塔と都市守護柱

チェンマイ旧市街の中心にそびえる「ワット・チェディ・ルアン」。

かつて高さ約90メートルを誇った巨大仏塔は、15世紀にエメラルド仏を安置したことで王朝の信仰の中心となりました。

現在は1545年の大地震で搭上部は崩壊しているものの、そのスケールと荘厳さは訪れる人を圧倒します。

境内にはチェンマイの守護柱サオ・インタキンや、黄金に輝くご本尊アッターロット仏、夜には幻想的なライトアップもあり、昼夜問わず見どころが満載。

本記事では、ワット・チェディ・ルアンの歴史や境内の見どころ、アクセス情報を在住者目線でわかりやすく解説します。

💡 編集注:本記事は2019年に初公開した内容を、現地取材にもとづき2025年9月に全面リライトしました。現在の参拝ルートや最新情報を反映しています。

ワット・チェディ・ルアンの歴史

ワット・チェディ・ルアンの本堂裏に立つ、建立に携わった4人の王の銅像
ワット・チェディ・ルアンの本堂裏に立つ、建立に携わった4人の王の像

ワット・チェディ・ルアンは、ランナー王朝第7代セーンムアンマー王によって建立されました。王は亡き父、クーナー王を偲び、この寺院の創建を始めたと伝えられています。しかし、王が存命中には完成には至らず工事は中断。

その後、配偶者であるティロークチュタテーウィー王妃によって工事が引き継がれ、ティローカラート大王(ランナー王朝第9代)の治世下である15世紀後半に、ついに完成を見ました。

ティローカラート大王は、スリランカから伝来した仏舎利を仏塔に安置し、さらに1482年には、ランパーンにあったエメラルド仏(プラ・ケーオモーラコット)をチェンマイに移し、ワット・チェディ・ルアンに祀りました。

境内の見どころ

ワット・チェディ・ルアンの境内は想像以上に広く、仏塔や本堂だけでなく、守護柱や博物館など見どころが点在しています。初めて訪れる方は「どこから回ればいいの?」と迷ってしまうかもしれません。

そこでこの記事では、ワット・チェディ・ルアンに10回以上参拝している筆者が、実際の参拝ルートに沿って、無駄なく迷わない順番で見どころをご案内します。

入口・チケットエリア

ワット・チェディルアンの正面入口に立つ警備員
ワット・チェディ・ルアンの正面ゲートに立つ警備員

ワット・チェディ・ルアンの正面ゲートは、チェンマイ旧市街の中心部に位置し、非常にアクセスしやすい場所です。

入口は、タイ人参拝客外国人参拝客それぞれ異なります。

  • タイ人参拝客は、無料で入場できます。
  • 外国人参拝客は、正面ゲート左側の窓口で入場料50バーツを支払います。
  • レンタルバイクで訪れる参拝客は、正面ゲート(タイ人参拝客用のゲート)から入り、境内の駐車場に停めた後、チケット売り場で50バーツを支払います。

チェンマイの守護柱(サオ・インタキン)

チェンマイ都市守護柱サオ・インタキンを祀るお堂の外観
チェンマイ都市守護柱サオ・インタキンを祀るお堂の外観

ワット・チェディ・ルアンに足を踏み入れると、最初に目に入るのがチェンマイの守護柱(サオ・インタキン)を祀ったお堂です。

歴史と由来

ラーンナー王朝の創始者、マンラーイ王がチェンマイを建国した際、先住民であるラワ族の提案により、チェンマイの中心である「ワット・インタキン・サドゥムアン」に守護柱を祀りました。

しかし、1558年にビルマ軍の侵攻を受け、ワット・インタキン・サドゥムアンは廃寺となり、守護柱も放置されてしまいます。

その後、1767年、タークシン王がビルマ軍を撃退すると、復興ラーンナー王朝初代カーウィラ王が守護柱を現在のワット・チェディ・ルアンに移しました。これにより、守護柱は再びチェンマイの信仰の中心となり、現在に至ります。

サオ・インタキンの特徴

ワット・チェディ・ルアンの守護柱(インタキン)と堂内の神秘的な雰囲気
ワット・チェディ・ルアンの守護柱(サオ・インタキン)と堂内の神秘的な雰囲気

サオ・インタキンは上に立像が置かれているため、初めて訪れる方は「柱はどこ?」と感じるかもしれません。実際の柱は煉瓦で作られ、装飾が施されています(レプリカ写真参照)。その姿は、まるで古代の神聖な力を秘めているかのような存在感を放っています。

お堂内部は、言葉では表現しきれないほどの壮麗さが広がります。

サオインタキンが祀られているお堂内部の壁画
サオインタキンが祀られているお堂内部の壁画

壁画には、サオ・インタキンの伝説が描かれており、その歴史的背景を視覚的に楽しむことができます。

女性参拝者への注意点

残念ながら、サオ・インタキンが祀られているお堂内への女性の立ち入りは禁じられています。これはタイの伝統的な宗教慣習に基づくもので、ワット・チェディ・ルアンの中で唯一、女性参拝者が立ち入れないエリアとなっています。知らずに?入ってつまみ出される旅行者もいるので、この点については、訪れる前にしっかりと理解しておきましょう。

重要な儀式と神聖さ

守護柱は、毎年5月に行われるサオ・インタキン祭でご開帳されます。この祭りは、チェンマイの人々にとって非常に大切な行事で、守護柱に供物を捧げ、繁栄や幸せ、健康を祈ります。女性も参拝可能なので、ぜひこのタイミングに合わせて旅行計画を立ててみてください。

大本堂(ウィハーン・ルアン)

ワット・チェディルアンのランナー建築様式の大本堂
ランナー建築様式の大本堂

守護柱のお堂(ウィハーン・インタキン)の右奥にあるのが、ワット・チェディ・ルアンの大本堂です。

外観からも圧倒されますが、内部に入るとさらにその壮麗さに息をのむでしょう。

ワット・チェディ・ルアンのご本尊の前で読経を唱える数百人の少年僧侶
ワット・チェディ・ルアンのご本尊
大本堂に響き渡る読経の声。数百人の少年僧が祈りを捧げる神秘的なひととき

高い天井から吊るされた大きなシャンデリア、そして黄金色に輝く柱の列が堂内を照らし出し、ゴージャスでありながらも荘厳な雰囲気を醸し出しています。

祭壇の中央に立つのは、ワット・チェディ・ルアンのご本尊であるプラ・アッターロット。高さは8.23メートルもあり、近くで見上げるとその迫力に圧倒されます。

この仏像の手のポーズは、右手が施無畏印(せむいいん)、左手が与願印(よがんいん)と呼ばれています。これは「神聖な気持ちで、あなたの願いを受け止めます」という意味を持つもので、参拝者に安心感を与えてくれます。

また、中央のプラ・アッターロット仏の両脇には、釈迦の高弟であるプラ・モッカラナ像(พระโมคคัลลานะ)とプラ・サリブット像(พระสารีบุตร)が立ち並び、三尊形式で祀られています。

巨大仏塔(チェディ・ルアン)

高さ86mあったとされるチェディ・ルアン仏塔の正面全景
高さ86mあったとされるチェディ・ルアン仏塔の正面全景
基壇を取り囲む28頭の象の漆喰レリーフ

ワット・チェディ・ルアンの象徴ともいえるのが、旧市街の空にそびえる巨大仏塔(チェディ・ルアン)です。

その起源にはいくつかの伝説が残っています。ひとつは、古代インドのアショーカ王が8名の僧侶を率いてこの地を訪れ、高さ150cmほどの小さな仏塔を建て、仏舎利を納めたというもの。

もうひとつは、先住民ラワ族が供物を捧げるために小さな仏塔を築いたというものです。どちらも史実かどうかは定かではありませんが、この地に仏塔が古くから存在していたことを示唆しています。

現在の姿の原型となる仏塔は、14世紀にラーンナー王朝第7代セーンムアンマー王によって建立が始まり、その後15世紀、ティローカラート大王の治世に完成しました。完成当時の高さは86メートル、基壇の幅は約54メートルと、ラーンナー最大規模を誇るものでした。

1545年の大地震で仏塔の上部が崩壊し、現在の高さはおよそ50メートル。それでもなお、基壇の迫力と荘厳さは訪れる人々を圧倒します。

また、現在バンコクのワット・プラケオ王宮寺院に祀られているエメラルド仏は、1468年から1551年までの約80年間、このチェディ・ルアンに安置されていました。

夜のライトアップも必見!

夜に黄金色にライトアップされた幻想的なチェディ・ルアン仏塔
昼間のスケール感とは一変
夜にライトアップされた幻想的なチェディ・ルアン仏塔

夕方以降になると、巨大仏塔(チェディ・ルアン)は黄金色にライトアップされ、昼間とはまったく違う幻想的な姿を見せてくれます。

漆黒の闇に浮かび上がる仏塔はインスタ映え間違いなし。観光の締めくくりに立ち寄れば、昼と夜の両方の魅力を楽しむことができます。

特に日曜の夜は、すぐ近くで開催されるサンデーマーケットと合わせて訪れるのがおすすめ。

マーケット散策の帰りに立ち寄れば、ライトアップされたチェディ・ルアンを一番良いタイミングで見ることができます。最寄りの入口はチェンマイ門が便利です。

👉関連記事:チェンマイのサンデーマーケット、エリア別の特徴と観光ポイント

チェディ・ルアンの地下トンネル

あまり知られていませんが、巨大仏塔(チェディ・ルアン)の下には、地下トンネルが存在します。

まるでインディージョーンズの世界に迷い込んだような神秘的な空間で、かつては僧侶が瞑想修行に使っていたのではないかとも言われています。

一般公開はされていませんが、知っていると仏塔の神秘性がさらに増すはずです。

興味のある方は、実際の映像をぜひご覧ください。

巨大仏塔(チェディ・ルアン)地下トンネル動画(YouTube)

タイを代表する高僧のお堂

タイの高僧アーチャン・マンを祀ったお堂の外観
タイの高僧アーチャン・マンを祀ったお堂の外観

巨大仏塔の裏手には、小さなお堂がいくつも並んでいます。その中には、タイ仏教界を代表する高僧を祀ったお堂もあり、ワット・チェディ・ルアンならではの見どころのひとつです。

ワット・チェディ・ルアンのアーチャン・マン・プリタトー師の蝋人形
ワット・チェディ・ルアンのアーチャン・マン・プリタトー師

特に注目したいのが、アーチャン・マン・プリタトー師を祀るお堂です。アーチャン・マンは、タイで行脚修行と瞑想止観を広めた先駆者であり、近代タイ仏教に大きな影響を与えた人物です。

彼の弟子のひとりが、のちに世界的に名を知られるアーチャン・チャー師。タイの森林派の瞑想を西洋へ広め、20世紀を代表する名僧といわれています。

タイの高僧ルアンター・マハーブア師を祀るお堂の外観
タイの高僧ルアンター・マハーブア師を祀るお堂の外観
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ルアンター・マハーブア師

また、その隣のお堂には、アーチャン・マンの弟子であるルアンター・マハーブア師が祀られています。彼もまた、タイの森林派を代表する高僧であり、多くの信者に慕われました。

小さなお堂に立ち寄ると、チェディ・ルアンが単なる巨大仏塔の寺院ではなく、タイ仏教の精神的伝統を受け継ぐ聖地であることを実感できます。

裏手のお堂と仏像群

巨大仏塔の裏手には小さなお堂が点在し、涅槃像やナーガに守られる仏像など、個性的な姿の仏像が祀られています。ここでは写真でご紹介します。

ワット・チェディ・ルアンの横たわる涅槃仏
ワット・チェディ・ルアンの横たわる涅槃仏
パーンナークプロックナーガ(蛇神)に守られながら瞑想する仏像
パーンナークプロックナーガ(蛇神)に守られながら瞑想する仏像
พระพุทธมหามณีศรีล้านนา
マハーマニーシーランナー仏

ヤーンナーの木(フタバガキの木)

ワット・チェディルアンに植えられたゴムの木
ワット・チェディ・ルアンに植えられた3本のヤーンナーの木

境内のサオ・インタキン(チェンマイの守護柱)のすぐ隣には、樹齢200年を超える大きなヤーンナーの木が3本並んでいます。

これらは、復興ラーンナー王朝の初代カーウィラ王の時代に、長らく荒廃していたチェンマイを再興する象徴として「街のランドマーク」として植えられたと考えられています。

毎年5月のサオ・インタキン祭では、このヤーンナーの木にも花や線香が供えられ、人々は街の繁栄と家族の健康を祈ります。

また、「このヤーンナーの木が滅びる時、チェンマイも滅びる」と伝えられており、単なる巨木ではなく、街の命運と結びついた神聖な存在として大切にされています。

ちなみにヤーンナーとはフタバガキ科の樹木で、チェンマイからランプーンへと続く街道沿いには延々とこの木の並木が続き圧巻です。

十二支仏塔でご利益祈願

巨大仏塔(チェディ・ルアン)の裏並ぶ十二支仏塔のレプリカ
巨大仏塔(チェディ・ルアン)の裏並ぶ十二支仏塔のレプリカ

巨大仏塔(チェディ・ルアン)の裏側には、干支ごとに対応する十二支仏塔のレプリカがずらりと並んでいます。

タイ北部のラーンナー文化では、自分の干支の仏塔にお参りするとご利益があると信じられており、これは「プラタート・プラチャムピークート」と呼ばれる独自の信仰習慣です。

観光で訪れる方も、自分の干支の仏塔を探して手を合わせれば、きっと特別なご利益がいただけるはず。チェディ・ルアン参拝の際にはぜひ体験してみてください。

👉 干支ごとの仏塔と守護仏については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
タイ十二支仏塔巡礼|タイの強力パワースポット巡り

ワット・チェディ・ルアン博物館

ワット・チェディルアン博物館の外観
ワット・チェディルアン博物館の外観

境内の一角には、無料で入れるワット・チェディ・ルアン博物館があります。営業時間は8:30〜17:00

館内には、仏塔修復の歴史を解説したパネルや、崩壊した建物の一部が展示されており、ワット・チェディ・ルアンの歩みをより深く理解できます。*本記事も一部博物館の資料を参考にしました。

展示はタイ語が中心ですが、英語の説明もあるので外国人旅行者でも安心。時間に余裕がある方におすすめです。

境内の雰囲気

ワット・チェディ・ルアンは観光客の姿は多いものの、境内が広大なため、全体は落ち着いた雰囲気に包まれています。

筆者自身も10回以上参拝していますが、このお寺は別格。「現役のお寺」と「巨大遺跡」が共存しており、その迫力に圧倒されます。

特に仏塔の存在感は、まるでアンコールワットの遺跡群に通じる空気感があり、単なる寺院巡りの延長で訪れると、良い意味でそのスケールに飲み込まれるでしょう。

日本ではまず味わうことのできない、寺院と遺跡が融合した唯一無二の雰囲気こそが、ワット・チェディ・ルアン最大の魅力です。

アクセス・周辺散策

アクセス

ワット・チェディ・ルアンは、チェンマイ旧市街の中心に位置しており、徒歩でもアクセスしやすい立地なので、旧市街のまち歩きとあわせて訪れるのがおすすめです。

👉 旧市街の散策ルートについては、こちらの記事も参考にどうぞ。
チェンマイ旧市街の城壁とお堀|まち歩き観光ガイド

徒歩が面倒な方は、以下の交通手段を活用すると便利です。旧市街内ならいずれも手軽に利用できます。

最寄りバス停:ワット・チェディ・ルアン(🔴24L)徒歩約1分 RTCスマートバス(50B)でアクセス可能です📍地図で見る

👉 交通手段をまとめて比較したい方はこちらの記事で詳しく解説しています:
チェンマイ市内&郊外の交通手段まとめ

周辺散策(お寺編)

徒歩10分ほどの場所には、チェンマイで最も格式の高い寺院『ワット・プラシン』があります。ワット・チェディ・ルアンと並び、旧市街観光の定番コースです。
👉 詳しくはこちら:ワット・プラシン徹底ガイド

さらにお寺巡りを楽しみたい方はこちらも参考にしてください:

周辺散策(食事)

ワット・チェディ・ルアン周辺のグルメ情報はこちらでまとめています:

チェンマイ旧市街グルメ|おすすめ食堂&レストランガイド ↗️

まとめ

チェンマイ旧市街の必見寺院ワット・チェディ・ルアン。

都市守護柱サオ・インタキンや巨大仏塔、大本堂など、歴史と信仰が息づく見どころを参拝ルート順にご紹介しました。

アクセスや周辺散策情報も、実際に何度も訪れている在住者目線でまとめていますので、初めて訪れる方でも安心です。

サッとまわれば30分、じっくり歩けば1時間半ほど。

昼と夜で異なる表情を見せるワット・チェディ・ルアンで、ぜひあなただけの特別な時間を過ごしてみてください。

アバター
筆者はチェンマイ在住10年。これまでにワット・チェディ・ルアンへ10回以上参拝しており、記事はすべて現地取材にもとづいて執筆しています。ガイドブック以上に詳しい「在住者目線の体験記事」として、旅行計画に役立てていただければ幸いです

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基本情報

名称ワット・チェディ・ルアン
タイ語名วัดเจดีย์หลวงวรวิหาร
英語名Wat Chedi Luang
営業時間7時00分~〜18時00分
8時30分~〜17時00分(博物館)
地図Googleマップでひらく
寺格第3級ウォーラウィハーン
参拝料外国人50バーツ
見どころ巨大仏塔・チェンマイ都市守護柱
 

筆者:HIRO@CHIANGMAI43(2012–2023チェンマイ在住/現・往復取材)
制度・料金は変更の可能性があります。最終確認は公式情報をご参照ください。